取組の写真は全てNHKテレビより画面を撮影。
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琴ノ若-明生
立ち合い、琴ノ若は右に変わり気味に張りにいくが、これでかえって後手に回り、明生は両差しになって出る。
琴ノ若は回り込んで残し、巻き替えて右四つ。右は琴ノ若の得意四つだが上手が取れない。対して明生は両廻しを引いて頭をつける。
明生が引きつけて出ると、琴ノ若、下手から振って残す。ひと呼吸ののち琴ノ若、明生が巻き替えるところに乗じて出たものの、巻き変えられた際に右の廻しが切れ、外四つで左右とも廻しが引けない状態で出たが、これは無理があり、浅い両差しの明生が相手の出る力も利用して右から出し投げを打つと、琴ノ若は土俵から飛び出した。
琴ノ若の立ち合いは何だったのか?
せっかくの恵まれた体と若さ、小技に頼らないでほしい。
豊山に押し出された一山本が土俵下、溜りを越えてマスにまで突っ込んだ。
その際、足を痛めたようだ。
一山本も心配だが、無観客や入場制限になって以来、力士がマス席にまで飛んで行きバタバタという足音が聞こえる場面が多い。
下手に粘るより力を逃がす動きをした方が怪我をしにくいというのはわかる。
しかし、やがてコロナ禍が収束し観客が戻ったときに、力士が今の感覚で突っ込んだりしないか、そこも心配になってしまう。
観客はむろん危ないが、今の感覚が抜け切らない力士が、観客を避けようとして変な力がかかり、怪我をするということもあるのでは。
解説の芝田山親方「土俵から出たら、その時点で負けなんだから、しっかり粘らないと」
貴景勝は豊昇龍に対し、立ち合いに当たって少し突っ張ったあと、またしても一度、二度と引きを見せる。
初日、二日目は、これに乗ぜられて一気に押し出されたのだが、今日は突かれて下がったものの、そこから突き返し、豊昇龍に右を差され下手も取られるが、小手に巻いて振り、豊昇龍が残して向き直り出てくるところ、左に体を開いて突き落とした。
相手によっては最初の引きにつけ込まれて負けということも有り得る。
正直、今の相撲を見ていると、現役続行さえ危ぶまれるように見える。それでも相撲界の格言通り「白星が薬」になるか・・・。
ところで、結びの照ノ富士-北勝富士戦での舞の海さんの解説。
スローで、北勝富士が肩透かしを引いて、青房下土俵まで下がった場面が映されたとき、舞の海さん、コメントを求められていないのに(別にコメントを求められた時だけ喋れというのではないが)向上面から「それと厚井さん」と、わざわざアナに声をかけて「ほかの力士なら、ここで勝負に出るところですけど、横綱は上手も下手も取れていないので無理しませんでした。ここは冷静で、さすが横綱ですね」
「ほかの力士」でも、両方の廻しが取れない状態で迂闊に出ようとするものかどうか?逆転される恐れがあるとは、横綱ならぬ素人の私でも考えるところだ。
(最初に挙げた相撲で、琴ノ若は似たような体勢で前に出て逆転されたが、あれは明生が巻き替えに来た瞬間だったから少し状況が違う)
だいたい舞の海さんは「ここで前に出たのが失敗でしたね」「ここで出ようとしなかったのが良かったですね」ということが、けっこう多い。
「前に出なきゃ駄目ですね」とは、あまり言わない。
以前、相撲誌にも「前に出る相撲を取っても負けたら意味がない」「負けても前に出られたから良かったなどと言うのはやめましょう」というようなことを書いていたこともあった。
舞の海さんは現役時代、飛んだり跳ねたりの相撲で人気者だったが、そういう相撲が「玄人筋」からは、必ずしも受けが良くなかった。
そんなこともあって「前に出る」正攻法の相撲を取る力士に対して、どこかコンプレックスのようなものがあるのではないだろうか?
舞の海さんの解説には、いろいろ気になることもあるので、また一つの記事にしてみたいとも思っている。
今日は、役力士以上は初めて安泰。