負傷時は礼法も省略させて/ダメ押しではない▼照ノ富士-高安戦

十一日目、結びの一番、照ノ富士高安戦。

高安が土俵下に転落、なかなか起き上がれない。

転落し、苦しそうな表情の高安(NHKテレビより画面を撮影/以下の写真も同じ)

呼び出し、警備の年寄たちがそばに駆け寄る。

照ノ富士も気を遣って二字口まで下がらない

「車椅子を持ってくるように指示したように見える」とNHK実況の小林アナウンサー。

だが、高安は立ち上がり、土俵に上がると一礼。

ヨロヨロと土俵を降りると、花道を下がる前にも一礼するなど、気丈にすべての所作をこなした。

気丈にも花道を下がる前にも一礼

しかし、恐らく本人は「大丈夫」と言ったのだろうが、あのような場合は本人がそう言っても、周囲の方で気を遣って、礼法は省略させてやってほしい。歩き方を見てもダメージは明らかで、土俵を下りる際にも手を借りていたくらいなのだから。

結果的に一時的なもので大したことはなかったということになったとしても、そのときはわからないのだから、大事を取るのが優先だ。

勝ち名乗りを上げる前に対処したのは、今年の悲しい件を受けての講習が生きてはいるようだが、まだ一考の余地がある。

 * * * * *

ところで、照ノ富士が「ダメ押し」をしたとして非難する声が聞かれるが、最後に照ノ富士が左で押した時は、高安の体はまだ土俵内にあった。

照ノ富士が高安を左で押す

その直前、土俵際まで追い込まれた高安は下手投げを打って逆転をはかっている。

そこを照ノ富士が最後の「詰め」で押したのはむしろ当然で、最後まで油断はできない場面だった。

(決まり手、場内発表では「寄り切り」だったが「押し出し」がいいと思う)

高安の投げがスッポ抜け、照ノ富士に背を向ける形になり、タイミング的なものもあって、土俵下に吹っ飛ぶような落ち方になってしまった。

照ノ富士の腕が伸び切る前に高安が土俵を割ったのも「ダメ押し」の印象を与えているのかも知れないが、「ダメ押し」は勝負がついているにもかかわらず一押しを加えるもので、この場合は明らかに違う。

しいて言えば、照ノ富士は高安が土俵を割った瞬間に手を引っ込めれば良かったとも言えるが、あの状況でそこまで要求するのは酷だろう。

高安がすぐに起き上がれない事態になったことも、高安ファンからすれば感情的になるところではあろうが、ここは冷静に見てほしい(中には「ダメ押しだ!ダメ押しだ!」と面白半分に騒ぎ立てているとしか思えないようなのもあるが・・・)。

余談だが、双葉山69連勝中の68連勝目竜王山を突き出した後、ススッと下がっている。

ダメ押しをしてしまわないために引いたのかも知れない。

左が双葉山(DVD「大相撲名力士風雲録・双葉山」より画面を撮影)

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