▼照ノ富士の「大きい相撲」と「小さい相撲」▼自分のやることに集中・阿炎/十一日目

一夜明けて日付が変わってしまうと、もう注目は今日の取り組みに移り、昨日の相撲を振り返るのは旧聞の感を免れないが、とにかく十一日目(写真はすべてNHKテレビの画面を撮影したもの)

来年度の『大相撲力士名鑑』が出ています。

▼十両優勝争い

まず三敗同士の琴勝峰一山本は、肩透かしで一山本。

琴勝峰は四敗で優勝戦線からは後退か。

前日負けて一敗の王鵬若元春を突き放そうとするが、若元春は左差し、右で上手を取って出て、寄り切り。

王鵬、快進撃と見えたが、二日続けてちょっと頼りない負け方。若元春はいい相撲で三敗を堅持。

この日は荒篤山も負けて二敗。

幕内優勝争い

《自分のやることに集中 阿炎》

一敗の阿炎、低く入ってくる宇良の肩、というより背中に近い所を両手で突き、あくまで低く潜ろうとする宇良に対し、委細構わず突っ張って突き倒す。

向正面解説、元嘉風中村親方、阿炎が、曲者で何をするかわからない宇良に対し「相手のことを考えないで怖がらす、自分のやることに集中した」結果だ、と。

二敗玉鷲千代大龍

千代大龍が立ち合い、右で張り、続いて左肩でも当たり、一気に突き立てて前に出るのを、玉鷲、後退して俵に足がかかった瞬間、左に突き落とす。

勝負がついたあと、玉鷲はかなり張り手のダメージがあったのか顔をしかめていたが、冷静に対処した。

同じく二敗の御嶽海高安に対し、立ち合い両手突きから突っ張ろうとするのを、高安はあてがいつつ圧力をかけて前に出るが、御嶽海はいなし、高安がたたらを踏むところに双差しになって寄り切り。

一敗貴景勝、巧者遠藤に対し、立ち合い両手突き、再三、組もうとしてくる遠藤を、これまた再三の体当たりで弾き飛ばし、押し出した。

四日目の記事で「押し相撲だから波に乗ったら怖い存在」と書いたが、逆にリズムが崩れるとガタガタッと急速に調子を落とす危険性もある。前日まともに引いての敗戦で、どうかと思ったが、とりあえすこの日は快勝。

《照ノ富士の「大きい相撲」と「小さい相撲」》

土つかずの横綱照ノ富士には逸ノ城

逸ノ城が右四つ、上手を引いて、照ノ富士には上手を許さず、有利な体勢だったが、出るところ、差し手から振って残した照ノ富士が上手を取り、頭をつける。その上手から出し投げで崩して逆に出る。これは逸ノ城も辛うじて残すが、体勢著しく不利になり、再び左上手を引いて頭をつけた照ノ富士が、右手で市之丞の右足を内側から取りに行く動きも見せつつ寄り進み、右手で突くようにして黒房下に寄り倒した。

照ノ富士は廻しが取れない時でも、外四つから極めて出る、いかにも横綱らしい「大きな相撲」を取るかと思えば、このように頭をつけて取る「小さい」と言っては何だが、緻密な相撲も取る。北の富士さんが「照ノ富士は上手が取れなくても、とりあえず下手だけでも引けばしのげるという頭があるんじゃないか」と言っていたことがあるが、この日も下手一本でも慌てなかった。

初の全勝狙う照ノ富士。先場所のことも考えるとまだ予断を許さないか。

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