十四日目、結びには優勝を左右する横綱照ノ富士と阿炎の一番が控える。
横綱にとって「初顔・突き押し」というのは、突発的な状況が生じやすく、嫌なものだろうと見る向きもあったが・・・NHK実況の大坂アナウンサーによると、安治川親方が、照ノ富士が「阿炎と対戦したい」と言っていたのを聞いたとのこと。
◆花道から控え―照ノ富士と阿炎の姿
照ノ富士と阿炎。「這い上がってきた」者同士の対決(もっとも阿炎の場合は自らの行動が招いたことだったが「雨降って地固まる」の感は強い)。
花道に現れた二人の姿を見ると、照ノ富士には気負いといったものは感じられず、むしろ不気味なほど落ち着き払った表情。
(以下、写真は全てNHKテレビの画面を撮影したもの)
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一方の阿炎は「よし、やるか」といった顔に見えた。
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控えでの照ノ富士は、阿炎の座る真向かいの控えを見据えていたが、といって阿炎を凝視しているという目でもない。
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剣術で言う「観の目」とは、こういう目だろうか。
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阿炎も、特に表情に固さは見えない。
貴景勝-正代
その対戦の前に、二敗で優勝争い三番手の貴景勝。正代の対戦。
貴景勝は踏み込んで頭で当たると、正代に差し手も廻しも許さず突き立てて、回り込む正代を正面に突き出した。
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貴景勝の完勝。最後は突き出した手を高く掲げ、ちょっと役者が見栄を切るよう。
正代の胸を出すような立ち合いには賛否あるが、こういう場合には、その甘さを突かれるように見える。貴景勝は、まずは優勝に望みを繋いだ。
照ノ富士-阿炎
いよいよ結び、照ノ富士-阿炎――
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阿炎が、いつものように双手から左右のノド輪で突き立てると、
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照ノ富士は、のど輪にあてがった阿炎の右腕を払い、回り込みつつ上手を狙うが、
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なおも阿炎は執拗にのど輪、さしもの照ノ富士も仰け反りつつ後退。
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阿炎は向正面にもろハズで攻め、照ノ富士は、左足一本を徳俵にかけて踏ん張る。
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照ノ富士が残して右で抱えようとすると、阿炎はすかさず、照ノ富士に抱えられた左から肩透かし。
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だが、肩透かしを引きつつ、無念にもバランスを崩してしまう。
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![](https://i0.wp.com/stat.ameba.jp/user_images/20211127/19/reppakunokiai/0f/16/j/o0960067215038030078.jpg?resize=480%2C336&ssl=1)
決まり手は押し倒し。
阿炎は足がもつれたのが悔やまれるが、照ノ富士の粘りが優ったということか。力は出し尽くした。
西・戸部アナウンサーのリポートによると阿炎は取組後「土俵際、下から行くことができなかった」と振り返っていたとのこと。
照ノ富士は千秋楽を待たずに六回目の優勝が決定。
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三輪アナによる優勝インタビュー「納めの九州場所、どんな気持ちで臨まれましたか?」とのの質問に、「一日一番、受けて立つつもりでやりました」
「受けて立つ」という言葉が印象に残った。
残る目標は、初の全勝優勝。
明日の対戦相手、貴景勝も、さらに上を目指すには勝っておきたいところ。