いよいよ2022年大相撲の幕開け。初場所初日の相撲から印象に残ったものをいくつか。
(写真は全てNHKテレビの画面を撮影したものです)
王鵬ー魁聖
新入幕・王鵬は、かつて関脇まで務めた魁聖と対戦。
立ち合い、王鵬は頭で当たり、左おっつけ、右で肩口を突く。おっつけを嫌って魁聖が右腕を抜くと、王鵬はそのままハズ、右はノド輪で攻めると、圧力で魁聖は横向き。そこをドッともろ手で突いて正面土俵に押し出し。新入幕初日を飾る。
北の富士さん「突き押しでいくと、お父ッつぁんの血も少しはね。貴闘力の。すっかり貴闘力は影が薄いけどね、やっぱり後ろから見てると似てますよ」「お祖父さんの面影はありますか?」「お祖父さんの方(のイメージ)はあんまり感じないんですよね」
北の富士さんが言うように、祖父の大鵬よりも、父・貴闘力のイメージに近いかも知れない。貴闘力のスケールアップ版というところか。
佐田の海ー天空海
天空海は十八番の掛け投げを二度ばかり見せたが、佐田の海は二度目を透かすようにして向正面に寄り倒し。すくい投げのようでもあった。
佐田の海は「柔道の内股透かしみたいですね」と振り返ったが、前に出て左の差し手を突きつけたのが効いた。
相撲の掛け投げは、内掛けから投げる、または外掛けをかけられた足を跳ね上げて投げるという場合が多いと思うが、天空海のは相手の両脚の間に自分の脚を入れ、腿で腿を跳ね上げる、柔道の内股に近い。柔道経験者の天空海ならこそだが、柔道の投げは引っ張り込む形になりがちなので、佐田の海のような出足のある相手にはつけ入られることにもなる。
阿炎ー宝富士
阿炎は、立ち合い、もろ手突き。のど輪も交えて突き立て、さらに頭でも当たる。宝富士左へ左へと回り込むが、阿炎は前傾して追撃し、西土俵でドッともろ手で止めを刺した。
大車輪の活躍だった先場所だが、千秋楽、ちょっと気が抜けたのではないかと思うような相撲を取ったので、あるいはムラ気で今場所は萎んでしまうこともあるか?とも思った。北の富士さんも「北の富士さん「真価が問われるのは今場所。今場所良ければ大関ということも」と言ったが、先場所の好調を持続させた相撲で、こうなると今場所、また優勝争いという期待も。
ラジオ解説の錣山親方「大関なんて言ってくださる方もいますけど、まだまだです」
錣山さんの評をもっとじっくり聞きたかったが、ニュースが挟まったので残念。
御嶽海ー宇良
場所前、今場所の御嶽海の大関昇進があるのではという声に対し、伊勢ケ浜審判部長は「全勝優勝すればそういう話になる」
御嶽海の大関昇進「全勝優勝すればそういう話」伊勢ケ浜審判部長が言及
好角家のエッセイスト・能町みね子さんはツイッターで「全勝なんて、横綱昇進じゃないんだから」とボヤいたが、要するに伊勢ケ浜親方は「今場所大関なんて笑わせんじゃねえ」と言っているようにも聞こえる。とはいえ、上の記事で言われているように、全勝でなくとも本当に十三勝上げれば、さすがに昇進という話も現実的になるのでは。目安と言われる三十三勝には一番足りないが十二勝でも有りうる。そこは伊勢ケ浜さんが言うように相撲内容次第ということにもなるだろう。
今日は宇良を一歩的に押し出し。全勝はしなくとも、この調子が十五日間続くか、だ。なかなか、この人は初日だけでは判断が難しい。
貴景勝ー若隆景
貴景勝は、目の覚めるような突進を見せ、若隆景を圧倒。
照ノ富士ー大栄翔
照ノ富士が横綱になって初めての敗戦を味わったのが、この大栄翔戦。先場所もあわやというところまで追い込まれており、初日の相手としては一番嫌かも知れない。
その相撲。照ノ富士は立ち合い、上手を狙って行ったが、大栄翔にもろ手から思い切って当たられ取れない。大栄翔はハズ、のど輪を交えて突き、押しで攻める。先場所同様、片足が浮き上がり、一瞬は両足がわずかに浮く場面もあった。
大栄翔は、終始突き立て、途中、いなし、引っ掛けも見せるなど、休まなかったが、照ノ富士もよく見て対応。最後は大栄翔が二本のぞかせて、正面によるところ、照ノ富士は左から突き落とし。発表の決まり手は叩き込み。
照ノ富士は、例によって攻めるだけ攻めさせ、慌てたという様子ではなかったが、といって余裕もなかったように見える。やはり照ノ富士にとっては、ちょっと持て余す相手だという印象を受けた。いずれにせよ、全力で攻めた大栄翔と、それを全て受け止めた横綱の、気持ちのいい相撲だった。
期待の力士たちが期待通りの相撲。あすからも楽しみ。
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